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- 竹張りのローコスト住宅
所在地 :京都府京都市
敷地面積:171.31㎡
床面積 :118.41㎡
建物規模:木造戸建て住宅
価格帯 :1,000万円台(坪47万円程度)
「庭いじり」、「家族の対話」、「地域に馴染む建物(地域との対話)」、「ローコスト」など、様々なテーマが混在しました。
賃貸マンション住まいの知り合いの方より、満を持して阪急沿線の新興住宅地に土地を購入され、設計相談を頂きました。
- ・マンション暮らしでは出来なかった、夫婦2人の夢である「庭いじり」がしたい!
- ・家族みんなで出来る「庭いじり」を通して、家族との対話、子供の成長を実現したい。
- ・お互いの両親が近くにいたので、大人数で集まれるスペースが欲しい。
- ・ローコストでも、なるべく妥協はしたくない・・・。
お施主さんが最重要視する「庭いじり」をアイディアの原点とし、農家の「縁側」をイメージしながらプランニングをしました。
竹を使った外観
「庭の植物と同じく、建物も手をかけて育てられる素材で、家族とともに時を刻み、この近隣地域に馴染みつつ、なるべくローコストで!」を追求した結果、この〝竹〟を使った外観となりました。計画当初から〝竹〟を使おうと思った訳ではなかったのですが、近隣が〝竹〟の生産地であり、資材屋さんを見て廻る中で、当時で築16年の倉庫があり、これが非常にコンディションが良いものだったので、防虫・防腐処理をきちんと施し耐久性が確保出来れば問題ないとの結論となり、採用が決定しました。
セルフビルド(DIY)でつくった「庭」
今回の計画の軸となった「庭」。
設計者である私自身も参加実際に使われていたしながらのセルフビルド(DIY)を採用して、手づくり感の高い愛着ある「庭」となりました。材料も線路で使われている枕木を調達したりと非常にローコストに仕上がりました。
現在は、野菜、果物、ハーブなどで家庭菜園を楽しみ、四季折々の収穫物が食卓を彩ります。
庭と建物をつなぐ土間玄関スペース
建物南側に位置する、幅1m弱の土間玄関は内部空間と外部空間の境目を曖昧にしています。約3万個のビー玉をお施主さん自身で敷き詰めた土間床は圧巻の一言です。
冬場は一日中陽が当たるサンルームとして機能し、ストレスなく洗濯物が干せます。逆に夏場はこの空間の奥行きが庇(ひさし)の役割を担い、日差しを遮り、ひんやりとした涼しい空間として機能します。他にも、「雨の日の子供たちの遊び場」、「ワンちゃんのドッグラン」、「野菜など収穫物の保管庫」、「バーベキュー時の庭とリビングの中間領域」になったりと、非常に多機能な役割を果たしています。
多機能なリビング・ダイニング空間
リビングダイニングはロールスクリーンと置畳により客間として分けて使用することが可能な一方、普段は椅子座と床座で別々に機能する各テーブルは、1つのテーブルとして接合する事も可能で、3M超のロングテーブルに変化し、臨機応変に16畳(キッチンを含めると22畳)の広々パーティー・リビングとしても機能します。
■庭(外構)
・セルフビルドによる手づくりの庭にする事で、楽しく、コストが掛からない選択が取れました。
設計者である私自身も参加しました。
・使用材料の入手方法も徹底的に調べ、コストを掛けずに他にはないデザインとしました。
■建物
・合理的な柱割により、シンプルで手間の少ない箱型建物にしました。
・廊下や間仕切り壁を極力設けず使用する建材のボリュームを絞りました。
・床板が下階の天井になっていたり、玄関や廊下が土間になっていたり、一つのモノや空間が複数の機能を兼ねることで、
省スペース化を図りました。
・床のパイン材をテーブル・椅子・棚板等に、構造用の合板を内装壁・棚板等に使用したり、材料を限定し同時多用する
ことで、工種を絞り、仕入れボリュームを増やし値引き交渉を可能にしました。
・上記の材料は普通によく使われる材料ですが、多用することで木目がきれいなものや節の少ないものを使用する場所の
優先度で選別できました。実は外壁の竹も当地でよく使用される割り竹の生垣用の汎用品です。
・あえて柱梁を露出させる「構造体あらわし」とし、この空間に不要と思われる仕上をなくしました。
これは構造体の点検を容易にしています。
・建物内にも、目隠しスクリーンや照明シェードとして簾(すだれ)を加工して作ったりセルフビルドを取り入れました。
■工務店の選定
・詳細は次項目に記しましたが、こちらも今回のローコスト計画を実現するに当たり、非常に重要なポイントでした。
工務店を選定する際には、競争見積りを実施する事で工事費用の適正化を実現する事はもちろんでしたが、今回は「竹」という特殊な建材を採用したので、工事開始後、多少イレギュラーな要素が発生するであろう事を見込んで、これに対して前向きな姿勢で取り組んでもらえるかどうかも重要視して工務店さんを選択しました。
現場が始まると予想通り、イレギュラー的な要素が発生しましたが、工務店さんの頑張りで、余計な追加費用は発生しませんでした。
複数回に渡るお打ち合わせを経て固めたプランニングだったので、問題点も含めて、良い意味で全てが明確でした。
設計者である私自身はもちろん、お施主さん、工務店さんの3者が、前向きに取り組む事が出来、大きなトラブルもなく無事に竣工する事が出来ました。
建築家の声
この建物は、大胆な割り切りと大いなる熱意それとちょっとした工夫で、ローコストではありますが、それを感じさせない雰囲気と性能を獲得できたと思っております。先日もお邪魔したのですが、ご家族とともに成長してきた佇まいが、当地にしっかりと根をおろしてきているように感じました。
Q、なぜ建築家に家づくりを頼まれたのですか?
世界に一つだけの、納得の出来る自分の家を(一度限りの人生の中で、)持ちたかったからです。
Q、なぜこの建築家に依頼されたのですか?決め手とかはありましたか?
知り合いからの紹介です。施主の希望を最後まで良く聞いてくれて、それを設計に最大限反映しようと約束してくれたので決めました。
Q、家づくりでこだわったことはありますか?
まずローコストで基礎のしっかりした頑丈な家です。神戸大震災の後でもあり、大きな地震が来ても安心して住める家です。
次に、暑さ寒さの厳しい京都なので、その対策も抜け目無くです。
また、外講の枕木敷きや外壁の塗装、表札作り等、自分達で出来ることは、家族みんなで楽しく一致団結して行いました。
Q、実際に住んでみて気に入ってるところはありますか?
家に入ると木の匂い、温もりが感じられること。竹や土間の構造のおかげか、暑さ寒さの厳しい京都でありながら、(ご近所に比べて)光熱費が安くすんでいること。リビングと土間と庭が一体となってオープンな空間を作り、10人くらいの人を集めて、和気あいあいとしたホームパーティができるところ。道行く見知らぬ人が立ち止まり、”いい味出しているね”とほめてくれること。
Q、これから家づくりを考えている方に対してアドバイスや一言
夢を現実にできたのは、信頼できて、感性の合った建築家に巡り合えて、とことん話し合えたからです。設計費/施工管理費は、建築時の余計な費用のように思えますが、実は築後の長い生活を支えてくれるための安心コストでした。
一級建築士事務所 田(でん)建築研究所
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