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- てつがくモダンな家
所在地 :東京都荒川区
敷地面積:77㎡(23坪)
床面積 :132.5㎡(40坪)
建物規模:木造3階建て・事務所兼倉庫併用住宅
建ペイ率:80%
容積率 :291%
価格帯 :3,000万円台
1階に倉庫兼事務所、2階・3階に住居を設けた木造3階建ての住宅。1階・2階の階高を押さえて、3階を開放的なLDK+ウッドデッキ配置。プロジェクトのコンセプトは「てつがくモダン」。
(日本漆喰協会 第5回作品賞 受賞)
以前仕事をした工務店の営業の方の紹介で出会いました。他にも候補の設計者はいたようですが、営業の方はこちらのほうがお施主さんの好みだろうと、先に連れてきて下さいました。お施主さんはもう一人の設計者に会いに行く事もなく、設計はスタート。
- てつがくモダン」な家
- ・駐車場と一階に広い倉庫兼事務所
- ・一目見て自分の家だとわかる「顔」のある家
- ・LDKと繋がる広いウッドデッキ
- ・将来親と同居する可能性があるのでエレベーター
「てつがくモダン」というお施主さんの要望を如何に形にするかが、このプロジェクトの最も難しいところで、また楽しい部分でもありました。打合せを重ねて、ご自宅や職場を見学し、お施主さんのライフスタイルを徐々に住宅の中にデザインしたのが、質実剛健の中にキラリと光るような「粋」な世界です。
黒いサイディングと漆喰の白壁、洞窟のようなR天井、防犯性を高めた格子SUS網戸、施主支給の大阪障子と煉瓦敷きの床、江戸からかみの襖、スチールの製作物の手摺、全てが「てつがくモダン」の重要なアイテムです。
お施主さんは、家に対する様々な要望や夢を抱いています。しかしながら、その全てを実現できる潤沢な予算を用意できるケースは稀で、基本設計で間取や空間を決定した後、概算見積を取り、優先順位の中で実現可能な要素に絞りながら設計を進めています。
今回は3階と1階に造作家具や装飾部分を多く取り入れたので、2階の個室や水廻りは造作で造るのをやめ、コストメリットの大きいメーカーのユニットを入れました。造り込む部分を決めることで、メリハリのある空間ができあがりました。
玄関にいわゆる「玄関ドア」ではなく、引違いの店舗用アルミサッシと木製の引違い格子網戸で玄関入口戸としました。
木製の引違い格子網戸の網は堅牢なステンレス製のメッシュで、風は通しながらも蚊と曲者の進入を防ぐ、正に「てつがくモダン」な玄関に仕上がりました。しかしながら、引違いの錠前は押し回し式の締り鍵になるので、どんなに鍵を調整しても、ドアの鍵よりも使い勝手が劣る欠点がありました。多少の癖があっても、引違い格子網戸の持つ魅力の方が、サッシメーカーの玄関ドアよりも勝るというお施主さんの言葉で肩の荷が下りました。
建築家の声
エレベーターの設置が要望にありましたが、予算的に難しく構造検討や設備等の将来対応のみをして、本体は設置しませんでした。エレベーターを中止したことで、予算に余裕が生まれ、造作家具や仕上げの質を上げることができました。結果として、エレベーターを含んだ予算に近くなりましたが、建て主のイメージに合った建物が実現しました。要望の整理が、功をなした好例です。
プロジェクトを通して一言
「てつがくモダン」という抽象的なコンセプトをお施主さんからもらったときは、どうしようかと悩みましたが、このお題目のおかげで、この建物にかかわった人の中で不思議な連帯感が生まれ、現場が和やかな空気に包まれていたような気がします。一つのプロジェクトに対して共通のメッセージを共有することは、ものづくりの現場では大切だということを、改めて学びました。正直申し上げで今でも、「てつがくモダン」が何なのか、よくわかりませんが、、、、これがこの物件の魅力だと思います。
なぜ建築家に家づくりを頼まれたのですか?
土地を購入して家を建てようと思いましたが、不動産屋兼工務店による建築条件付きの土地だったので、当初そこの工務店に設計・施工を頼む予定でした。しかし、工務店の設計者は、一人の担当者が売建て物件を何件も掛け持ちでこなしている状況だったので自分たちの嗜好性を、建物のデザインにちゃんと取り込んでくれる建築家に頼むことにしました。不動産屋が土地の建築条件から設計を外してくれたのは幸運でした。
建築家を選ぶ際の決め手とかはありましたか?
工務店から紹介してもらった建築家の一人ですが、過去に手がけている物件のデザイン的な嗜好性が我々の求めているモノと合っていると思いました。また、実際に事務所を訪ねてみて、工務店との間に入って独立した立場で我々の新築計画をうまくまとめてくれるだろうと、会った時にこの人達なら大丈夫と直感しました。
家づくりでこだわったことはありますか?
「てつがくモダン」な家をつくることです。
実際に住んでみてどうですか?気に入ってるところはありますか?
住んでみてとにかく気持ちのいい家で、満足しています。
ウッドデッキへと続く開放感のある3階のLDKはくつろげます。格子網戸は機能も優れていて気に入っています。
家づくりを改めて振り返ってみてどうでしたか?良い、悪い、困難なところとかはありましたか?
家が竣工してから、近所で理想的な土地が出たのです。新居の土地よりも条件がいいので、この土地が出るまで待っていれば、、、と考えてしまいました。現在の土地を買う時に、検討を重ねて最善の解を出して来たことを思い出し、揺らぐ気持ちを払拭できました。
これは土地に限ったことではないと思いますが、家づくりには決断しなくてはならないことが山ほどあります。時間をかければ、理想に近づけるかもしれませんが、際限なく時間がある訳でもないので、その時々で自分で納得して選んでいるかどうかが大切だと改めて思いました。
これから家づくりを考えている方に対してアドバイスや一言
「家は買うものではなく、つくるもの」というスタンスを持つ事です。そして、自分の家づくりを実現してくれる信頼できる設計者や工務店と出会うことが大切だと思います。
せっかく家を建てるのですから、自分に合った家をたててもらいたいと思うし、モノづくりの現場も味わってもらいたいです。家づくりに参加することは時間もかかり、大変でしたが、自分の家ができあがっていくことを実感できたことはとても幸せなことでした。
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