建築家との家づくりストーリー紹介

2つの中庭と2つのルーフバルコニーのある家

物件概要

所在地 :群馬県伊勢崎市
敷地面積:166.28㎡(50.29坪)
床面積 :133.31㎡(40.32坪)
建物規模:木造2階建 一戸建ての住宅
建ペイ率:47.56%(許容50%)
容積率 :80.17%(許容100%)
価格帯 :2000万円台

プロジェクト概要

〜あえてコートハウス〜
プライバシーや採光などに苦心する都心の狭く込み入った敷地において、その解決策として採用の多い「コートハウス」。
それをあえて地方都市の閑静な住宅地で採用し、都市部でなくとも中庭が有効に機能させられることを示した三人家族のための住宅。
2つの中庭と2つのルーフバルコニーが山と谷の様に配置されることで、内外を連続させ、同時に上下階の繋がりをも生みだしている。
この外部を媒介にした空間の連続性は、いわゆる全て開け広げのワンルーム空間とは異なり、家族の雰囲気を感じながらも、各自が固有の時間を過ごすことのできる微妙な距離感、関係性を作り出す。

お施主さんとの出会い

当初お施主さんはハウスメーカーさんと家づくりを進められていました。
が、どうもあと一歩という感じがしたようです。
そこで当社にご相談にいらっしゃいました。

お施主さんの要望

  • ・駐車場2台分(並列駐車) ・庭、植栽は手のかからない程度に ・白と茶の組み合わせの外観
  • ・室内物干し場 ・対面キッチン ・ワンルームのLDK
  • ・バルコニー(喫煙用) ・予備室としての和室
  • ・敷地周囲は「塀」を設けたい

建築家のアイデア

[制約・条件]
・敷地は南北に長い長方形で、その長手方向が幅員6Mの前面道路に接する。
・「長期優良住宅」認定を受けるため、断熱材料など基本性能部分で通常よりも若干のコストアップが必要。

・上記の敷地条件から、出入りやすさを考慮し、2台分の駐車場は前面道路に「平行縦列駐車」する形をとった。建物も駐車場に平行に長手方向いっぱいに配置することで、一体的な内部空間を取ることが可能となった。お施主さんからは「並列駐車」とのご要望だったが、敷地と道路の関係性やそれゆえ生まれる内部空間の豊かさをきちんとご説明・ご提案した結果、その有効性をご理解いただけた。
・仕上げを「安いものでもよい部分」と「お金をかける部分」とに分け、メリハリをつけることで全体的なコスト調整を行い、お施主さんのご要望金額内に納めている。

・お施主さんからの要望では「敷地周囲を塀で囲いたい」というものが気にかかった。
よく確認してみると「防犯、プライバシーのため」と考えながらも「なんとなくそういうものだと思っていた」とのお考えであることが分かった。
塀で囲う=セキュリティー効果とプライバシー保持」という考えが実はさほど効力がなく、建築本体でより効果的に対処できることを考え、外壁で囲われた「コートハウス」をご提案した。

外観
中庭の存在を際立させるためにも、開口は限定し、結果として寡黙な表情となっている。しかしながら道路から引き込まれたような駐車場が、近隣住民に対しては広場的な場所ともなりうる。
大きめの庇を備え、雨天時に雨にぬれずに乗車ができる。
塀がないのでおおらかな開放感を感じられる。

バルコニー
2つの中庭と2つのルーフバルコニーが山と谷のように連続することで、内外および上下階のつながりを生み出している。壁に囲われており、プライバシーの保たれた外部空間である。
格子壁は緩やかに敷地外とを隔て、やわらかに日光を取り込む。

LDK
LDKと和室、中庭01を合わせると約30帖のワンルームとなる。中庭からは一年を通じてやわらかな光がとりこまれ、室内がやさしい雰囲気に包まれる。
内外が連続した開放的な一体空間。

LDK
中庭にはシンボルツリーとしてイロハモミジを植えてあり、自然をより身近なものとして生活することができる。白い外壁に写る影は、時々刻々と姿を変え、その様子を眺めることも楽しみとなる。

LDKから中庭
LDKと和室とは30cmの段差を設けてあり、ダイニングで椅子に座ったときの目線と和室で正座した時の目線がほぼ合うようになっている。また、大勢の来客時には段差がベンチ代りとなる。
中庭デッキとベンチはフラットであり、中庭が室内へ引き込まれたような感覚が生まれ、内外をより親密なものとしている。

浴室から
階段に明るさが落ちるように配慮した本棚は、大量の本を収納するだけでなく、部屋のアクセントにもなっている。浴室には大きな窓を中庭へ対して設けている。中庭02を眺めながら露天風呂感覚で入浴でき、和室の床の間越しに中庭01のイロハモミジまで見渡すことができる開放的で明るい浴室。見上げればルーフバルコニーとも視線がつながる。
適宜ロールカーテンで視線を遮ることはできるが、すくなくとも敷地外から覗かれることはない。

廊下・サンルーム
「室内物干し場=サンルーム」を備えるというご要望を、浴室前の廊下で実現している。電動の天井収納式の物干しざおを備え、中庭2に面する。
突きあたりの壁には折りたたみのデスクを造りつけ、洗濯ものをたたんだり、アイロンをかけたりとできる家事コーナーとなっている。

ガラス床見上げ
2階廊下の一部分をニュウハク色フィルム貼りのガラスとしている。廊下を歩く家族のシルエットがうかがえ、1階にいながらも2階の家族の雰囲気を感じることができる。また、2階廊下で取り込まれた光を1階へ導き入れる役割もしている。
ガラスは強化ガラス2枚を特殊な樹脂を挟み込み貼り合わせたものであり、十分な強度がある。

ベンチ
LDKと和室・中庭の段差下部は子供のおもちゃ収納にもなっている。
子供でも簡単に引き出せるよう、キャスターを取り付けてある。

外観夜景
白いスクエアな外観に木製の格子や玄関戸を備えることで、モダンながらも自然素材による「なごみ」を備えた表情となっている。同時に「白と茶の組み合わせ」というお施主さんのご要望にも答えている。
夜は格子から漏れた光が外壁に広がり、やわらかで印象的な表情を作り出す。

コストの工夫

健康面を考慮し、仕上げ材には極力自然素材を用いているが、そうでなくてもよい部分は安価な仕上げにし、メリハリをつけることで全体のコスト調整をしている。

「塀」で囲わず「外壁」で囲われたコートハウスとすることで、通常外構工事にかかるコストを本体工事に回している。

工務店に合い見積にて、ある程度の価格競争をしていただいた。

工務店の選定

実績、技術ともに信頼のおける工務店3社を設計側で選定し、合い見積にてもっとも適切な価格を提示した1社に決定。
設計内容に興味を持ち、「ぜひともやりたい」という意識を持っていただけた。

設計後記

建築家の声

お施主さん奥様は雑誌等で見かける「コートハウス」というものにあこがれながらも、「こうゆうのは本当に特別な家」と思いこみ、ご要望としては上げてこられませんでした。それゆえ、ヒアリングや現地調査を踏まえた結果の最もベストな回答として、我々がご提案したものが「コートハウス」であったことにとても驚かれたようです。

ご要望がないのに「中庭」や「ルーフバルコニー」が、しかも2つもあることを提案したところで、はたして受け入れていただけるのか?という不安感は多少はありました。が、先述のような理由もあり、提案内容をよくご理解いただき、以外にもすんなりと受け入れていただきました。

そこにはお施主さんが既成概念を取り払って、家づくりというものを見つめ直し、「ともに作り上げていく楽しさ」を感じ取っていただけたことが大きかったと思います。

建築家データ

株式会社下田設計 東京事務所
住所:東京都中野区野方4-24-4-401
電話番号:03-6454-0298
HP:http://www.shimoda-s.jp/プロフィールページへ

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